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ムツゴロウジャンプ 第7部

皆さん、本当にすみません。

実はSSのデータをうっかり消失してしまい、書き直していたんですが、その結果、更新はまたしても遅くなってしまいました(汗)

今後はこのようなことのないよう、気を付けます。

それでは、本編をどうぞ





時間旅行者の行為によって歴史に矛盾が生じてしまうことをタイムパラドックスというらしい。

例えば、自分の両親が出会うよりも前にタイムスリップした者が両親の出会いを止めると、両親の結婚はなくなるわけだから自分が存在するのはおかしいということになるのだ。

このような歴史的矛盾を生じさせてしまうとどうなるかということについては様々な可能性があるそうだ。

1つ目は、生じてしまった矛盾は何らかの形で修正され、歴史は変わらないというものだ。
(時間旅行者が自分の両親の出会いを止めたとしても、結局両親は出会い、時間旅行者は生まれる)

2つ目は、生じてしまった矛盾は修正されず、歴史が変わるというものらしい。
(時間旅行者の両親は出会わないこととなり、時間旅行者は生まれないということになるため、両親の出会いを止めた時間旅行者の存在は消える)

3つ目は……

音美は3つ目の可能性を話そうとして少々躊躇った。

「教えて下さいよ」
半戸は言った。

「気になるじゃない」
麻友も言った。

音美はため息をつき、それから次の言葉を発した。

「分かった。話すけど、驚かないでね。……3つ目の可能性は『全宇宙が歴史的矛盾に耐えられなくなって破壊される』よ」

……

おいらも麻友も半戸もしばらく何も言うことができなかった。

「……ちょっとショックだった?」
音美は聞いた。

「……ちょっとどころじゃないぞ」
おいらはようやく口を開くことができた。

「まあ、よほど大きな矛盾が生じない限りは全宇宙が破壊されるということはないと思うけど、歴史に悪影響をもたらす可能性がある以上、タイムパラドックスは極力避けなくてはならないわ。半戸さんは私と一緒に来て」
音美は言った。

「……分かりました」
半戸の声はやけに小さかった。

「私は?」
麻友は聞いた。

「麻友はラッキーと一緒にここで待っていて」
音美は言った。

「私も一緒に行きたい。気になるもん」
麻友は言った。

「だめよ!ここで待っていなさい」
音美は強い口調で言った。

「……」
麻友は恨めしそうな顔で音美を見たが、それ以上何か言おうとはしなかった。

「それじゃあ、半戸さんはこっちへ」
音美はそう言うと部屋から出ていった。

「……はい」
半戸は小さな声でそう言うと、音美について行く。

麻友はこっそりとおいらに話しかけた。

「ねえ、ピーター。音美のお姉ちゃんはピーターには何も言っていないよね」
「……え?……そういえばそうだな」
「つまりピーターはお姉ちゃんについて行ってもいいってことだよね?」
「……そ、それはだめだと思うぞ」
「お願い。お姉ちゃんとおじちゃんにこっそりついて行って話を聞いて来て。ピーターは猫だし、忍び足は得意でしょ」
「見つかったらおいらが怒られるって……」
「ピーターはお姉ちゃん達が何をしに行ったか気にならないの?」
「……」
「ねえ、お願い」
「……仕方がないな。行ってくるよ」

おいらはため息をつきながら音美達の後を追いかけた。

音美と半戸は地下室に下りていた。

「いい?半戸さん。この先で私が見せる物や話すことは絶対に麻友に教えちゃ駄目よ」
音美は頑丈そうな扉で閉ざされた部屋の前に立つと、言った。

「え?……は、はい」
半戸は言った。

音美は扉を開け、部屋の中に入る。

音美の後に続く半戸は……よし。おいらの読み通りだ。半戸は扉を閉め忘れた。

「半戸さん、ドアを閉めて」
音美は言った。

「え?……あ、そうですね」

半戸が扉を閉めた時、おいらは既に半戸の隙をついて扉の中に入っていた。

音美は部屋の真ん中にある擦りガラスのケースの前に立った。

「このケースの中には、150年前に宇宙が誕生してから2013年の8月8日までの記録が全て入っているの。……今、タイムパラドックスが起きかけていると仮定して、私がさっき話した可能性の内の3つ目、『全宇宙の破壊』は起こらなかったようね」
音美は言った。

「へ?それはどうしてですか?」
半戸は聞いた。

「今、タイムパラドックスのせいで全宇宙が破壊されれば、このケースは消えてしまうはずなのよ。このケースが作られたのは2013年の7月だから」
「……え?それはどういうことですか?このケースも僕等と同じようにタイムスリップしてきたんですか?」
「……まあ、そんな所よ。さて、最悪の可能性は消えたけど、調べなきゃいけないことはまだあるわ。……半戸さん、今からケースを開けるけど、絶対に驚かないでね」
「……一体何が入っているんですか?」
「それは……」

音美は言葉に詰まった。

「言えないほど恐ろしいものが入っているんですか?」
半戸は恐怖を押し殺そうと必死のようだ。

「……百聞は一見に如かずよ。……ケースを開けるから心の準備をして」
音美は言った。

「……」
「……大丈夫?」
「だ、大丈夫です。開けて下さい」
「……それじゃあ開けるわよ」

ケースが開かれた。

「あっ!」

思わず声を上げたのはおいらだった。





今回は新たな展開にするつもりだったんですが、干潟とムツゴロウから離れてしまいました(>_<)

次回は必ず干潟とムツゴロウを登場させますので、どうかご理解下さい。
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ムツゴロウジャンプ 第6部

最近更新が遅くなってばかりで申し訳ありません。

それでは、本編をどうぞ。





「前橋さん、よろしいでしょうか?」
看護師さんが病室にやって来た。

「どうぞ」
僕は言った。

「警察の方が来られているんですが、事情聴取は受けられそうですか?」
看護師さんは聞いた。

「ええ。大丈夫ですよ」
僕はそう言うと、ベッドから起き出した。

「あ、座ったままで結構ですよ」
看護師さんの後ろに立っていたお巡りさんが言った。

「……それでは、そうさせていただきます」
僕は言った。

「事情聴取が終わりましたら呼んで下さい」
看護師さんはお巡りさんにそう言うと、病室から出ていった。

「では、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
お巡りさんは言った。

「前橋徹也といいます。……こういう時って職業なんかも答えた方がいいですよね?」
僕は言った。

「出来れば答えて頂けるとありがたいです」
お巡りさんは言った。

「僕は東京で自営業をしているんですよ。仕事の都合で佐賀に来たんですが、取引先の会社に行く途中で事故に遭ってしまったんです」
僕は答える。

「そうなんですか。災難でしたね。事故の時のことは覚えてらっしゃいますか?」
お巡りさんは聞いた。

「ええ。確か、女の子が車に撥ねられそうになって……」
僕は事故の状況を詳しく話した。

「分かりました。詳しく聞かせて下さってありがとうございます。……仕事の方は大丈夫ですか?」
お巡りさんは言った。

「頭の怪我は大したことありませんから、取引先には明日にでもうかがいます。仕事は1週間あれば片付くので……。本当は仕事が終わった後に2~3日観光しようかと思っていたんですが、事故に遭っちゃいましたし、仕事が終わり次第帰ります」
僕は言った。

「それは勿体ない。佐賀県は何にもない田舎のように見えますけど、観光名所は結構あるんですよ。例えば……鹿島なんかは面白いですよ。6月1日には七浦海浜スポーツ公園でガタリンピックがありますからね。是非見ていってほしいもんです。……それでは、私はこれで失礼しますね。看護師さんを呼んできます」
お巡りさんはそう言うと病室から出ていった。

ガタリンピックのことは僕も知っていたし、前から見に行ってみたいとは思っていた。

今回仕事の後に予定していた観光も実は鹿島に行くつもりだったのだ。

だけど……

「事情聴取は終わったみたいですね。……前橋さん、東京からお電話があるんですが、取り次ぎましょうか?」
お巡りさんから連絡を受けたらしい看護師さんがやって来て言った。

「お願いします」
僕は言った。

電話の相手は東京にいる僕の部下の渡辺由紀さんだった。

「社長、大丈夫ですか?事故に遭われたと聞いて心配しましたよ」
渡辺さんは言った。

「事故と言っても直接車にぶつかったわけじゃないよ。心配をかけてすまないね」
僕は答える。

「……そうですか。でも頭に怪我をされたと聞きましたよ」
渡辺さんは言った。

「かすり傷程度だから大丈夫だよ」
僕は言った。

「大したことがないように見えても頭の怪我なら心配しますよ。もし社長の身に何かあったら……」
渡辺さんは声を詰まらせる。

「……」
僕も黙ってしまった。

「……とにかく、無事に帰って来て下さいね」
渡辺さんは言った。

「大丈夫だよ。これ以上君達に心配はかけられないからね。それじゃあ……」

やっぱり仕事が終わった後はまっすぐに東京に帰ることにしよう。僕のことを心配している部下達がいるのだから、出来るだけ早めに帰らなければ……



「あいたっ!」

急に音美が立ち止まったので、おいらは音美の足に頭をぶつけてしまった。

「あっ、ごめんね。ピーター」
音美はおいらに謝ってから、病院の方を振り返る。

「どうかされたんですか?」
半戸は音美に聞いた。

「胸騒ぎがするの。……タイムパラドックスが起きかけているのかもしれないわ」
音美は言った。





今回は干潟とムツゴロウはまだ登場していませんが、どうにかキーワードとして干潟を出すことができました。

ここからは何とかして更新ペースを上げて行こうと思います。
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