ムツゴロウジャンプ 第23部

どうも、ハンドルです。

皆さん、お久しぶりです。

大変ながらくお待たせしてしまいましたが、今回ようやくブログに復帰することができました。

更新を待って下さっていた皆さんには本当にご迷惑とご心配をおかけしてしまい本当に申し訳ありません。

今後も不定期にはなってしまいますが、少しずつSSを更新できるようにしていきますのでどうかご了承くださ……


ピーター:「ハンドルの長い挨拶はもういいよ。皆やっほー、おいらのこと思いだしてくれたかな?」

麻友:「皆ー!私のことも思いだしてくれた?」

ピーター:「今日は『ムツゴロウジャンプ 第23部』を更新するぞ」

麻友:「それでは本編をどうぞ!」

ハンドル:「……ピーターと麻友ちゃんにいい所持ってかれた……」





「麻友が2008年に来てからの出来事を全て忘れれば、麻友の姉は皆を狙わなくなるわ。何しろここにいる皆は私を除いてタイムパラドックスを修正しようとしている人ばかりだから……」
音美はそう言うとまた俯いてしまった。

「……麻友の記憶を消したのか?」
おいらは音美に聞いた。

「……ええ。こうするしかなかったのよ」
音美は言った。

「ふん。くだらないことをしたものね。どちらにしろ今はタイムパラドックスの真っ最中。麻友が目覚めて何かを記録したらその時点から麻友の姉は動き出すのよ」
三沢は言った。

「……だったら早く麻友を2043年に連れて行けばいいじゃない」
音美は言った。

「……言われなくたってそうするわよ」
そう言うと同時に三沢は持っていた武器を音美の首筋に押しあてた。

「あああっ!」

「音美!」



……まだしっくり来なかった。

病院の先生は私が階段から落ちて気を失ったと説明してくれたのだが、私は階段から落ちた覚えなどなかった。

それでは何故私は今病院にいるのかと言われると、残念ながら分からない。

少し前に2人組の男女が病院にやって来てからというもの、私はここ何日かのことを全く思い出せなくなっていた。

病室のドアを叩く音がした。

「萌枝、起きてる?」
それはお母さんの声だった。

「お母さん……入って」
私は病室にお母さんを招き入れた。

「災難だったわねえ。でも大した怪我じゃなくてよかったわ」
お母さんは言った。

「……ねえ、お母さん。私どうして病院にいるんだっけ?」

そう聞いた後で私はしまったと思った。

お母さんの表情が一瞬こわばったのだ。

「萌枝、あなた……」

私は咄嗟に頭を働かせた。

「……なーんてね。階段から落ちたことは覚えてるよ。だから安心して。……もう、お母さんたら心配性なんだから冗談が通じなくて困るな~」

我ながら結構な演技をしたものだと思う。

「……もう。あまり心配させないでよ。びっくりしたじゃない……」
お母さんはほっとしたのかそう言った。

「うふっ。こういう冗談を言えるくらい元気になったんだからいいじゃない」
私は言った。

お母さんを騙したようで後ろめたい気持ちもあったが、私は今はお母さんに心配をかけたくはなかった。

「後でお父さんも来るけど、お父さんにはそんな冗談言っちゃだめよ。お父さんはあなたのことが心配で仕方ないんだから……」
お母さんは言った。

「あーはいはい。お父さんには言わないよ」
私がそう言った時だった。

キキィ……

ガラスを引っ掻く耳障りな音が聞こえて来たのだ。

「うっ!……だ、誰?やめてよ。……あれっ?」

意外なことにベランダの窓ガラスを引っ掻いていたのは虎猫だった。

変な音をたてられて嫌な感じがしていたのだが、虎猫の顔を見た途端に私はきゅんとなってしまった。

「わあ、かわいい!」

「それだけ元気ならもう大丈夫ね。それじゃあお母さんは何か飲み物を買ってくるから」
お母さんは笑いながらそう言うと病室から出て行った。

虎猫は何か言いたげにベランダの窓ガラスに前足を立てている。

……さすがに猫を病室に入れるわけにはいかないよね。でも……

私はベランダに出ちゃだめともベランダの窓を開けちゃだめとも言われていない。

……ちょっとだけならいいよね。

私はそっと窓を開けてベランダに出た。

「猫ちゃん、どうしたの?」
私は虎猫を抱えあげた。

「お願いだ。姉ちゃんを助けてくれ!」

「えっ!?」
私は驚いた。

今しゃべったのって、まさかこの猫ちゃんなの!?





麻友:「ね、ねえ。大丈夫なの?……私達大ピンチじゃない」

ピーター:「おいら達どうなるんだ?……それにどうして虎猫のよしおが人間の言葉を話せるようになっているんだ?」

ハンドル:「それはねえ……」

麻友、ピーター:「それは……?」

ハンドル:「第24部で分かるよ。それでは皆さん、次回は『ムツゴロウジャンプ 第24部』です。近い内に更新しますのでよろしくお願いします」

麻友:「え~?私達にだけこっそり教えてよ~」

ハンドル:「そんなのだめだよ」

麻友:「ハンドルさんのケチ!」

ピーター:「いいさ。麻友、ハンドルがとっておいたアイスクリームおいら達で全部食べちゃおうぜ」

麻友:「いいねそれ!」

ハンドル:「うわっ!や、やめてくれーっ!」
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pixivのお知らせ

どうも、ハンドルです。

皆さん、御無沙汰してしまって本当に申し訳ありません。

本当は定期的にSSを更新していかないといけないんですが、残念ながら僕は今それが出来ない状態でして……(汗)

……というのも、今現在執筆中の『ムツゴロウジャンプ』がどうも煮詰まってしまい、長い間スランプに陥っているんですよ(汗)

このままスランプを脱却できずにいると好きだった執筆活動もやめたくなってしまうかもしれない。これはまずいと思い、本当に申し訳ないんですが『ムツゴロウジャンプ』の更新はしばらくお休みさせていただくことにしました。

ただ、何も書かずにいるとそれこそモチベーションの回復やスランプからの脱却は難しくなってしまうので、少しずつでも執筆を続けて行こうとpixivで新しいSSを描き始めました。

新しいSSのタイトルとURLはこちらです。

恐るべき館

皆さん、特に『ムツゴロウジャンプ』の登場人物のモデルとなって下さっているてつやさん御夫妻には本当に申し訳ないんですが、どうかご了承くださいm(__)m


ピーター:「やれやれ。おいら達はしばらく休憩か」

麻友:「早く復帰して活躍したいよねえ」

ハンドル:「2人とも本当にごめんね。それでは皆さん、僕等は必ず『ムツゴロウジャンプ』に復帰いたします。その時はまたご愛読して下さるとうれしいです」

麻友、ピーター:「それじゃあ皆さん、バイバーイ(^O^)」

ムツゴロウジャンプ 第22部

どうも、ハンドルです。

皆さん、大変遅くなって申し訳ありません。

ようやっと『ムツゴロウジャンプ 第22部』です。

それでは本編をどうぞ。






「陸奥五郎と音美が2043年の人間とアンドロイドだって……?そ、そんなのおかしいじゃないか。もしそれが本当なら陸奥と音美は完成したタイムマシンを使って2043年に戻ったはずじゃないか。音美、そうだろう?」
おいらは言った。

だが、音美は再び黙ってしまう。

「あらあら。頑固な猫ね。それじゃあ逆に聞くけど、2043年のアンドロイドでないのならどうして音美は日下の下の名前を知っているの?」
三沢は言った。

「……」

落ちつけ、おいら。今のおいらは三沢に騙されまいとして何でも否定しようとしてしまっているのだ。

音美が2043年から来たアンドロイドだとしてそれをおいら達に隠していたとしても、別においら達にとって不都合があるわけではない。

「……それじゃあ、タイムマシンが2043年までしか行けないっていうのは……」
おいらはもう1度音美に声をかける。

「ええ。タイムマシンは陸奥博士の知っている時代より先には行けないようになっていたのよ」
音美は言った。

「一体どうして?」
おいらは聞いた。

「分からない。おと……陸奥博士はタイムマシンがどうして2043年より先には行けないのかを話してくれなかったから……」
音美は言った。

「大方自分にとって都合の悪い未来を見ないようにしてたんでしょうね。それまでも自分のせいで辛い目に遭っている人を見ようとはしなかったんだから。陸奥五郎はそういう人間だったのよ」
三沢は言った。

「違うわ!お父さんはそんな人じゃなかった!」
音美は言い返す。

「……お父さんですって?……いい加減にしなさいよ!実の娘でもなければ人間でもない木偶人形のくせにいつまでそんな呼び方するつもりなの?!陸奥五郎は……」
三沢の顔が怒りに歪んだ。

「み、三沢さん、話が逸れちまって……」
日下は言った。

「……ええい!分かってるわよ!」
三沢は日下を怒鳴り付けた。

「……うへえ!今は触らぬ神に祟りなしだな」
日下は2、3歩後ずさった。

「……いい?徹也、大事なのはここからよ。陸奥五郎が作り上げた2体のヒューマノイドのうちの1体、麻友の双子の姉は地球が誕生してから2013年の8月8日までの記憶を持って生れて来たわ。だけど陸奥は本来2043年の人間のはず。どうして陸奥はヒューマノイドに2013年までの記憶しか持たせなかったと思う?」
三沢は言った。

「……それはヒューマノイドを作った時点で陸奥博士が2013年にいたからその時間に合わせたんじゃありませんか?もし2013年にいる時点で2043年までの記憶をヒューマノイドに入れこめば2013年の人間に悪影響が出るかもしれないし、2013年から2043年までの記憶は2043年に帰ってから入れこまないといけなかったんじゃ……」
徹也は言った。

「そうよ。だけどもう1体のヒューマノイド……つまり麻友は姉の知らない未来を記憶してその記憶を姉に渡す役割を持っているのよ。その麻友も2013年に作られている。これっておかしいんじゃない?まるで陸奥は2013年からの歴史を自分の手で書き変えようとしていたようだと思わない?違うと言える?」
三沢は言った。

「……」
徹也もおいらも何も言えなかった。

「……だから陸奥は麻友の姉に殺されたのよ」
三沢は言った。

「そ、そんな……いくらなんでもあんまりだ。歴史を変えちゃいけないのは分かりますけどそのために命まで奪うなんて許されることじゃ……」
徹也は言った。

「その通りよ。命を奪うことは許されない。だけど陸奥の命を救おうとすることは他の誰かの命を奪うことになるのよ。それは許されるの?」
三沢は言った。

「えっ?」
おいらも徹也も一瞬三沢の言うことの意味が分からなかった。

「今死にそうになっている人間がいるのをあんたも知っているはずよね」
三沢はおいらの方を向いて言った。

おいらはぞっとした。

「ま、まさか……」

「そうよ。タイムパラドックスが起きたことで陸奥は助かるかもしれないという状況になったの。だけど1人の人間が死んだという事実は変わらなかった。このままにしておけば陸奥の代わりにあんたがよく知っている人間が死ぬことになるのよ。……そう。あんたと一緒にタイムスリップして来た半戸隆一がね!分かる?その木偶人形はタイムパラドックスを修正しようとしているふりをしながら半戸の命と引き換えに陸奥を生き返らせようとしているのよ!」
三沢は言った。

「そ、そんなまさか!音美は半戸やおいら達を助けてくれたんだぞ!その音美が半戸を犠牲にしようとしているなんて信じられるか!」
おいらは言った。

「信じられないのなら別にいいのよ。後5分以内にあんたも私達に従わざるを得なくなるからね」
三沢は言った。

「……えっ?」

その時だった。

ガチャーン!

地下室からガラスが割れるような音が聞こえて来たのだ。

「な、何だ?!」

「あら?分からないの?あんたもよく知っているモノが動き出したのよ」

三沢の言葉においらは戦慄した。

「ま、まさかお前等、麻友の双子の姉を起動させたのか?!」

「あら?私達じゃないわよ。何度も言うように麻友の姉が持っているのは地球が誕生してから2013年の8月8日までの記憶よ。2013年の8月8日から先の未来は麻友が記憶してそのデータを姉に送る仕組みを陸奥は作っていたの。そしてその仕組みは麻友が長い間近くにいれば麻友の姉が自動的に起動できる副作用を生みだしたの。……麻友の姉は今までは人工冬眠状態になっていて起動を妨げられていたようだけど、ここに麻友がタイムスリップしてきた時点でいつ起動してもおかしくなかったのよ」
三沢は言った。

「じ、じゃあどうして麻友の姉は人工冬眠から覚めたんだ?」
おいらは言った。

「簡単なことよ。コールドスリープケースの冷却ガスが尽きていたのよ。……さて、麻友の姉はあと4分でここにやって来てタイムパラドックスの関係者を皆殺しにするわよ。それを止めるには麻友を壊さなきゃならない。さあ、麻友を渡しなさい」
三沢は言った。

「そ、そんなことできませんよ。麻友ちゃんを犠牲にするなんて……」
徹也は言った。

「あなたねえ!麻友を壊さないとここにいる全員が死ぬかも知れないのよ!早く麻友を渡しなさい!」
三沢は言った。

「だ、だめだそんなの!麻友は……」
おいらは言いかける。

「これだけ言ってもまだ麻友を庇うつもり?!麻友は言わば殺人マシンのリモコンと同じなのよ!殺人マシンがここに来るまで後3分しかないわ!早く麻友をこっちに渡しなさい!」
三沢は言った。

「だ、だめです!」
徹也は言った。

「ちっ!三沢さん、こいつらに説得は通じないようだ。こうなったら力ずくで……」
日下は徹也に躍りかかった。

「させないわ!」
音美は日下を押しとめた。

「この野郎!」
おいらは日下の顔に飛びかかると滅茶苦茶に引っ掻いた。

「ギャース!痛ててててててて!!」

「徹也さん!」
「頼む!」
音美とおいらは同時に言った。

「……分かりました。これは正当防衛です!」
徹也は怯んでいる日下を倒した。

「ぎゃふん!」
日下は目を回してしまった。

「何やってるのよ!この間抜け!」
三沢は日下を怒鳴り付けた。

「み、三沢さん、後2分しか……」
スプラッターは言った。

「分かってるわよ、スプラッター!……仕方ないわね!徹也!どうしても麻友を渡さないつもりなら……」
三沢はそう言いながら何かを取り出した。

それは金属の棒のようにも見えたが、ただの棒のはずがなかった。

「徹也、気をつけろ。あれはきっと……」
おいらは言った。

「……未来の武器なのか……」
徹也はおいらが言おうとしたことを理解したようだった。

三沢は金属の棒を徹也に向けて突き出そうとした。

その手を音美が掴んだ。

「頼子!やめなさい!」

「ええい!その汚らわしい手を離しなさいよっ!」

先程銃を奪い合った時とは打って変わって音美はすぐに三沢に振り払われてしまった。

「あ、後1分!」
スプラッターは言った。

ドアの外から物凄い音が聞こえて来た。

麻友の姉が既にドアの前までやって来ているのだ。

「や、やべえ!」
日下は青ざめる。

このままではとんでもないことになるのは明白だった。

だけど……麻友を見殺しになんてできるわけがない!

「三沢さん、ここから逃げよう!」
日下は言った。

「バカ!今逃げたりしたら……」
三沢は日下を怒鳴り付ける。

どうする?おいらはどうすればいい?

音美が悲しげな顔でおいら達に向き直ったのはその時だった。

「……ピーター、徹也さん、ごめんなさい。……私は最低だわ」
音美はそう言うと、麻友の前にしゃがみ、麻友の頭に手を当てた。

「ね、音美さん!やめてください!」
徹也は驚き、慌てて音美を止めようとした。

「徹也さん、大丈夫よ。麻友を殺しはしない。だけど……」
音美はそこまで言って再び俯いた。

その直後にドアを叩く音はしなくなった。





今回は麻友ちゃんとピーターはもう寝ていてコントはできませんのでご了承ください。

次回は『ムツゴロウジャンプ 第23部』です。

できるだけ早く更新しますので、どうぞよろしくお願いします。

やあ、皆。今日はおいらが『ムツゴロウジャンプ 第21部』を更新するぞ。

……え?おいらが誰かって?

皆忘れちゃったのか?おいらは『ムツゴロウジャンプ』の進行役のピーターだよ。

……って言っても1ヶ月以上も更新期間が空けば忘れちゃう人もいるよなorz

後でハンドルに文句言ってやらなきゃ……

それはおいといて、今日はお知らせがあるから聞いてくれ。

このブログMYSSと相互リンクさせていただいているJMI Japan Messy Illustratorの管理人のやまとさんが明日8月9日(日)19時30分からニコニコ生放送で『第4回 WAM生』を放送するんだ。

今回のWAM生のテーマは夏祭り!超可愛い2人のモデルさんの浴衣WAMが見られるぞ。

モデルさんの1人は第2回、第3回にも出演されていて写真集「ロリィタわむ」の作成を行っておられる麗しろんさん!
そしてもう1人はコスプレイヤーやモデルとして、とても可愛らしい写真を多数掲載しておられる雨音瑠美さん!
この御2人でお送りされるから、是非見てくれ!

なお、詳しい情報はここで見られるぞ。

http://japanmessyillustrator.x.fc2.com/live4.html

「WAM生」放送の視聴にはniconicoのアカウント登録と放送コミュニティへの申請が必要だ。放送は明日だからできるだけ早く申請してくれ。
※前回のWAM生ですでに申請済みなら今回の放送の申請は必要ないから放送をゆっくり待とう。

そして必ず守ってほしい注意事項がある。
1.モデルさんや他の視聴者に対する暴言・誹謗中傷など
2.モデルさんに対しての過度な要求(極度に過激な要求、住所、氏名などのプライバシー情報や、SNSアカウントの要求など)
3.本放送を録画した上での他サイトへのリンクまたは転載。あるいは他者への譲渡。
4.その他、モラルに反する行為、発言など
これらの行為は禁止されているから絶対にしないでほしい。
もしこれらの行為をしてしまうと、やまとさんやモデルさん御2人を傷つけることになるだろうし、何よりも自分自身が信頼を失ったりすることになりかねない。
WAM生もそうだけど、インターネット上にあるサイトは全て皆でマナーを守ることによって成り立っているものだ。1人1人が当事者意識を持ってマナーを守ることができなければ、もしかすると次回のWAM生は放送されないかもしれない。

……と、いろいろと固いことを言ってしまったが、大事なことだから皆、どうか気を悪くしないでくれ。

視聴の際には注意事項をしっかり守ってコメントして、みんなで楽しく盛り上げよう!!



それじゃあそろそろ『ムツゴロウジャンプ 第21部』本編に移ろうか。






「ガキでも思いつくようなことを自慢している暇があったらさっさと麻友を押さえつけなさいよ!この大バカ!」
苛立った様子でミサワと呼ばれた女は日下を怒鳴り付けた。

ミサワの正体はこの女……?

「ひえっ!相変わらずおっかねえや。……さて、麻友、おとなしくしていてもらおうか?」
そう言って日下が麻友に近づいた時だった。

「お、思い出した!あなたは取引先の責任者だって名乗っていた……確か三沢頼子さん!」
徹也は言った。

「やっぱり取引相手の名前は三沢だったのか?つまりこの女が……」
おいらは言いかける。

「いいや、違うよ。僕が取引した相手は確かに三島頼子さんって人だった。だけど取引先に行った時に責任者だって名乗っていたのは三沢頼子さん。……つまりここにいる彼女だったんだ。それで彼女と話している内に記憶がなくなって……。気が付いたら、本当の取引相手の三島頼子さんと仕事の話をしていたんだよ」
徹也は言った。

「ちっ!思い出しやがったか!」
日下は言った。

「やっぱり催眠術じゃだめってことか……」
三沢は言った。

「どうしてこんなことをするんですか?僕の記憶を消そうとしたのはまだしも麻友ちゃんや音美さんをこんな目に合わせるなんて!」
徹也は厳しい顔をして言った。

「お前には関係のないことだ!引っ込んでいろ!」
日下は徹也に銃を向ける。

「いらんことするんじゃないわよ!このバカ!もし今銃が暴発したらどうするつもり!?」
三沢はまた日下を怒鳴り付ける。

「ひえっ!……そ、そんなことは……ギャース!」
途中まで言いかけて日下は銃を取り落とした。

麻友が日下の手に噛みついたのだ。

「今だ!」
おいらは日下が落とした銃を拾おうとした。

だが、銃は予想していたよりずっと重くて持ち上げられない。

日下は銃を取り返そうとした。

まずい!このままじゃ……。

その時、誰かが日下より一瞬早く銃をつかんだ。

銃をつかんだ誰かはそのまま日下に向けて引き金を引いた。

銃弾は日下の頭の横を通って壁に当たった。

日下は傷1つ追わなかったが威嚇には十分だった。

「ひっ!ひええっ!」
日下は青ざめて後ずさった。

「麻友達に近づくなら今度は本当に脳天を打ちぬくわよ!日下東一!」
銃を構えたままで音美は言った。

「音美、気がついたのか!」
おいらは言った。

「ええ。ピーター、徹也さん、麻友とラッキーを連れて私の後ろに隠れて」
音美は言った。

「わ、分かったよ」
おいらは音美に従おうとしたが……

「うわ……あ……!」
麻友が小さな声と共に倒れてしまったのだ。

「しまった!麻友ちゃんは自分の血を見たんだ!」
徹也は言った。

「麻友!」
音美に隙ができてしまった。

「甘いわね!」
三沢は素早く音美に近づくと手刀で銃を叩き落とした。

「あっ!」
「もらったわ!」

三沢の手が銃に伸びる。

だが音美も負けてはいなかった。

音美は三沢の手が銃に届く寸前に銃を蹴り飛ばした。

銃は徹也の足下に転がった。

「ええい!小賢しい!」
三沢は再び銃に手を伸ばした。

「させないわ!」
音美は三沢の足をつかむ。

「離せ!小癪な木偶人形め!」
三沢は叫んだ。

音美と三沢が揉み合いだした。

……と、次の瞬間だった。

銃声が響いた。

それも1発ではなかった。

恐らく10発以上はあったと思う。

「これで弾は全部なくなりました。警察を呼びますからもう諦めて下さい」
徹也は言った。

「……て、徹也?どうして銃を撃てるんだ?」
おいらは言った。

「無我夢中だったんだ。とにかく銃をつかえなくしてしまえば……。そう思って……」
徹也は言った。

「諦めて下さい……?いい気になるんじゃないわよ!」
三沢の顔は怒りに歪んだ。

その顔を見ておいらも徹也もぞっとした。

「お、落ち着けよ。三沢さん。徹也に手を出すのはまずいって……」
日下は言った。

先程まで腰を抜かしていた日下だったがどうやら立ち直ったらしい。

「……あんたに言われなくたって分かってるわよ!」
三沢は怒りを抑えるために一呼吸置くと言った。

おいらは徹也の方を見た。

徹也は先程とは打って変わって不思議そうな顔をしている。

おそらく2人の目的を測りかねているのだろう。

おいらもまたそうだった。

この2人はタイムパラドックスを防ぐために2043年からやって来たらしいということはスプラッターから聞いて知っている。

だけどなぜ麻友を殺そうとするんだ?

麻友が狙われるのなら麻友と同じく2013年からこの時代にタイムスリップしてきたおいらやラッキーや半戸も狙われて然りのはずだが、おいら達は現時点では直接狙われているわけではないようだ。

そしてその一方でこの時代の人間である徹也に対しては記憶を消したり多少手荒な手段を取りつつも命にかかわるような危害を加えることは避けている。

2008年5月30日現在で起きているタイムパラドックスに徹也は一体どんな形で関わっているのだろうか?

その時だった。

三沢はふと手の上に乗せているスプラッターに目を向けた。

スプラッターが何か言っているのか?

気になったおいらは首輪の翻訳モードをいじった。

スプラッターの声が聞こえてくる。

「……頼子さん、いっそのこと1度徹也に全部ぶっちゃけないか?どうせ最後には俺が奴の記憶を消すんだし……」
スプラッターはそう言っているようだった。

「……仕方ないわね。前橋徹也、今ここでこれ以上私達の邪魔をするつもりなら、あなたは死ぬかも知れないわよ」
三沢は言った。

「……僕のことも殺すってことですか……」
徹也は再び厳しい顔をして言った。

「私達はあなたに危害は加えない。……まあ、あなたの記憶は少々変えなければならないけどね。でもあなたが麻友を守ろうとするのなら麻友のせいであなたは死ぬことになるかもしれないのよ」
三沢は言った。

「ええっ?!そんなまさか……」
徹也もおいらも驚いて声を上げた。

「あなただけじゃない。下手をすればあなたとつながりがある人達も死ぬかも知れないわよ」
三沢は言った。

「そんなこと言われても信じられませんよ。麻友ちゃんは普通の女の子じゃありませんか!どうして麻友ちゃんのせいで人が死ぬなんて……」
徹也は言った。

「普通の女の子?……うふふ……あーっはっはっは!」
三沢は突然笑い出した。

「な、何がそんなにおかしいんですか?」
徹也は言った。

麻友がヒューマノイドだから三沢は麻友のことを人間と言った徹也のことを笑っているのだろうか?

おいらはそう思った。

「……普通の女の子ですって?麻友を見てみなさいよ」
三沢は言った。

言われるままに徹也もおいらも倒れている麻友に目を落とし、そして驚いた。

麻友の頭の傷が少しずつ塞がっているのだ。

「猫君、こ、これは……」
徹也は戸惑っている。

「その……実は麻友は……ヒューマノイドらしいんだよ。人間に限りなく近いロボットらしいんだ。……麻友自身もこのことは知らないらしい」
おいらは言った。

「ついでに言っておくけど、そこにいる葉月音美もアンドロイドというロボットよ。まあ、これはヒューマノイドとは違って人間の形をしているだけの木偶人形でしかないけどね」
三沢は言った。

「……か、仮に麻友ちゃんや音美さんがロボットだとしても僕は彼女達のおかげで助かったんですよ。麻友ちゃんのせいで死ぬなんて思えません」
徹也は言った。

「まあ、信じないならこちらも強硬手段をとらせてもらうわよ。麻友を殺さないとあなた達に危険が及ぶだけじゃない。歴史が変わってしまうかもしれないんだから」
三沢は言った。

「えっ……?歴史が変わる……?」

「ええ。……尤も、歴史が変わろうとしている原因は麻友だけじゃない。あなたやそこにいる猫も歴史が変わる原因を作っているのよ」

三沢はおいらの方を見た。

まるで知っていることを徹也に話せとでも言いたげに……

徹也もおいらの方を見る。

おいらが隠しごとをしていることに気付いているのだ。

もはや徹也においら達がタイムスリップしてこの時代にやって来たことやタイムパラドックスのことを隠し通すことはできなかった。

「……すまない、徹也。おいら達は……2013年から来たんだ」
おいらは言った。

「ええっ?!」
徹也は驚いた。

「驚くのも無理はないかもしれないけど、本当のことなんだ。おいら達は偶然タイムマシンのある倉庫に迷い込んで……」

おいらは今までのことを全て徹也に話した。

徹也は半信半疑のようではあったが、この状況ではおいらの言うことを信じるしかなかったようだ。

「……それで、半戸は気絶する前においら達が起こしたタイムパラドックスが何なのかを全部思い出したらしくて、そのことを音美に話していたらしいんだ。……だから徹也には音美に会ってもらう必要があったんだ。タイムパラドックスを修正するために……」
おいらは話し終えた。

「……とても信じられないけど、信じないわけにはいかないな……。音美さん、半戸さんから聞いたことを話してくれませんか?」
徹也は音美に聞いた。

「……それは……」
音美は言葉を詰まらせている。

「音美、話してくれよ」
おいらは言った。

「……彼女はきっと話せないわよ。何しろ話したが最後徹也や猫が私達に協力する気になるだろうから」
三沢は言った。

「何だって?!そんなことになるもんか!」
おいらは言った。

「それじゃあスプラッターの記憶を見てみなさい。スプラッター、あなたは音美と半戸のやり取りを全部見たんでしょう?」
三沢はそう言うと何やら小さなヘルメットのようなものを取り出すとスプラッターの頭にかぶせた。

すると壁に映像が映った。

「スクリーンか……」
徹也は言った。

今までびっくりするような話ばかり聞かされたので徹也はもう未来の映像技術くらいでは驚かなかったようだ。

映像はスプラッターの視点で展開された。



「……麻友ちゃん……ピーターを寝室に……連れて行って……ピーターが起きるまで……ついていて……くれるかい?」
半戸は言った。

麻友は泣きながら頷くとピーターを連れて寝室に向かった。

「半戸さん、歩ける?大至急頭の検査をしなくちゃ……」

「音美さん……全部……思いだしましたよ」
半戸は言った。

「えっ?」
「麻友ちゃんの……双子の姉と……繋がれた時に……見たことですよ」
「そ、それじゃあ……」
「ええ。……僕等が……起こしてしまった……タイムパラドックスは……何なのか……全部……分かりましたよ」

「おい、それは本当か?!」
ラッキーは驚いた。

「あ、ああ……」
半戸は言った。

「取りあえず頭の検査をしなきゃならないから部屋を移動しましょう」
音美は言った。

半戸は音美に支えられながら部屋を移動した。

「ラッキー、半戸さんはしばらく安静にしておきたいから、麻友が来ても入って来ないようにドアの外で見張っていてくれる?」
音美はラッキーに言った。

「分かった」
ラッキーはそう言うとドアの外に座った。

音美はドアを閉めると半戸をベッドまで連れて行き、スプラッターの入った虫籠を棚の上に置いた。

「半戸さん、いろいろと聞きたいところだけどまずは頭の検査をするからこのヘルメットを……」

音美はヘルメットを持ってきたが、半戸はそれを手で制した。

「じ……時間が……ありません。……僕が……起きて……いられなくなる……前に……話して……おかないと……」
「でも……」
「いい……ですか。……そもそもの……間違いは……徹也さんと萌枝さんが……交通事故に遭った時に……僕等が……救急車を……呼んだことだったんです。……あの時……本当は……事故を起こした車の運転手が……正気を取り戻して……救急車を……呼ぶはずだったんです……。そうすれば……東京にいる徹也さんの部下達が……佐賀に来るはずだった。……それで……徹也さんの無事が分かって……東京に帰る前に……皆で……鹿島ガタリンピックの観光をするはずだったんです。……そこで……徹也さんは……再会するはずでした。……峯島萌枝さんと……。それが……僕等のせいで……」
「えっ?でも、徹也さんは萌枝さんとは病院で再会しているじゃない。どうしてそれでタイムパラドックスが修正されないの?」
「……病院で……再会したのも……よくなかったんです。……徹也さんと萌枝さんは……あの時点では……お互いのことを……忘れていなきゃならないはずだった。……だけど……僕等と関わったことが……引き金になって……徹也さんは……萌枝さんのことを……覚えていた。……そして……病院で……萌枝さんと再会してしまったんです。……本当は……鹿島ガタリンピックで……再会するはずだったのに……。徹也さんは……病院で……萌枝さんの……無事な姿を見た直後に……部下が自分のことを心配していると知って……鹿島観光をやめて……仕事が終わったら……まっすぐ東京に帰ろうと……思ってしまったんです」
「それじゃあつまりタイムパラドックスは徹也さんが鹿島に行かないことで起きるってこと?」
「……正確には……徹也さんと萌枝さんが……ガタリンピックを通して正式な……になれなかったことで……2人で……芦刈の海遊ふれあいパークに行けなくなったことが……タイムパラドックスを……引き起こしたんです。……2人が芦刈の海遊ふれあいパークに行かないと……ムツゴロウが飛び跳ねるタイミングが……ずれてしまうんです。……そうなってしまうと……全てのつじつまが合わなくなるんです。……音美さんなら……分かりますよね」

半戸の最後の言葉に音美は顔色を変えた。

「半戸さん、本当に何から何まで全部知ってしまったの?」
音美は言った。

半戸は答えなかった。既に意識を失っていたのだ。



スクリーンは消えた。

「な、なあ。つまりタイムパラドックスってムツゴロウが飛び跳ねるタイミングがずれたっていうだけで起きたのか?」
おいらは音美に言った。

音美は黙っている。

「ムツゴロウが飛び跳ねるタイミングがずれると……ある男がそれを目撃できないのよ」
三沢は言った。

「えっ?」
おいらは三沢の方を見る。

「その男はこの時代は福岡県の中学校に通っていて野球部に入っていたのよ。そして6月2日に海遊ふれあいパークの隣にある野球場に来ていたの。……そして場外に出たファールボールを取りに行って干潟で飛び跳ねる魚を目撃したわ。……そして水に入らずに干潟で飛び跳ねる魚の習性に興味を持った彼は高校では生物学を学ぶようになった。そして大学を卒業した後には天文学や化学や物理学、様々な分野に長けた科学者となったわ。彼の名は飛び跳ねる魚と同じ……」

三沢の言葉においらは戦慄した。

「おい、その男の名前はまさか……」
「ええ!彼の名は陸奥五郎!そこにいる葉月音美や小宮山麻友を作りだしたマッドサイエンティストよ!」
「そんなバカな!陸奥五郎が死んだのは2013年じゃないか!2008年で中学生なら2013年の彼はどう見積もったって20歳かそこらにしかならないはずだぞ。大学を卒業しているなんておかしいじゃないか」
「ええ。彼が死んだのは確かに2013年の8月8日よ。だけど彼はその時点で20歳ではなかったわ。彼の享年は……50歳だったわ」

おいらはさらに驚いた。

「ど、どういうことだ?!時系列がおかしいじゃないか!」
「うふふ……。ちょっと考えて見れば分かることよ。あなたは2013年から来たんでしょう?2013年の人間が……麻友のような精巧なヒューマノイドを作れると思うの?」
「……えっ?」
「音美に聞いてみなさい。陸奥五郎が本当はいつの時代の人間なのかをね」

三沢は音美の方を見る。

おいらも音美を見た。

「……」
音美は青ざめた顔で黙っている。

「……音美、答えてくれよ。どういうことなんだ?!」
気付かないうちにおいらの声は大きくなった。

「……分かったわ。ここまで来たら、全部話さないとね……」
音美は話しはじめた。



2043年8月1日、午前7時55分……

理学博士の陸奥五郎は机にもたれて仮眠を取っていた。

陸奥はここ数日寝る間を惜しんで論文を書いていたのだが、その論文が先程ようやく完成したのだ。

彼が取り組んでいた論文は科学の常識を根本から覆すものであり、生命倫理にも大きく関わるものであったために論文の作成にはかなりの時間を要したのだ。

論文の発表は午後2時の予定だったため、彼は2時間ほど仮眠を取ることにしたのだった。

だが、彼は結局5分も眠ることができなかった。

ガシャン!

突然ガラスの割れる音がしたのだ。

陸奥は驚いて飛び起きた。

見ると机から2m程離れた所にある窓が割れていた。

床にはガラスと一緒に大きなコンクリートが落ちていた。

誰かが陸奥の家の前の道路から歩道の縁石をひきはがし、陸奥の家の窓に投げつけたのだった。

「博士!大丈夫ですか?」

部屋に駆け込んできたのは陸奥が自分の助手として作り上げたアンドロイドだった。

「ああ、大丈夫だ。机を窓から離しておいて正解だったよ……」
陸奥は言った。

「……博士、どうしてそんなに落ち着いていられるんですか?ひょっとしたら命にかかわるような大怪我をしていたかもしれないのに……」
アンドロイドは言った。

「……こう見えても動揺してるんだよ。もし君がこの部屋に来ていた時に石を投げ込まれていたら。……そう思ったらね。だけど君も僕も無事だったし、よかったよ。取りあえず窓を塞いでおかないとね……」
陸奥は言った。

「博士……。博士が私に優しくしてくれるのはうれしいですけど、ちょっとは自分のことを心配して下さいよ」
アンドロイドは言った。

「……気をつけるよ。」
陸奥は言った。

「……取りあえず、博士は窓のない部屋でお休みになって下さい。私は警察に連絡して窓を塞ぎます」
アンドロイドは言った。

「ありがとう。頼むよ。……だけど1人で大丈夫かい?」
陸奥は聞いた。

「私は生まれついての大人ですもん。大丈夫です」
アンドロイドは言った。

陸奥が部屋から出て行くと、アンドロイドは窓の外を見て唇をかみしめた。

陸奥の研究がこれまでの常識を覆すものであること、生命倫理に大きく関わっていることから、研究に反対する者は数多くいた。

反対派の中には陸奥に脅迫まがいのことをする者もいた。

インターネット上での誹謗中傷はどんどんエスカレートしているし、数日前にはカッターの刃が入った封筒が送りつけられてきたこともあった。

警察はインターネット上で陸奥を誹謗中傷した犯人のうち、特に悪質な者や陸奥にカッターの刃を送り付けた犯人を逮捕したが、その後も陸奥に対する脅迫は収まらなかった。

そして今日のこの石である。

陸奥は科学者として研究をしているだけなのになぜこんなことをされなければならないのか……アンドロイドは悔しかった。

ビシッ!

今度は壁に何か固いものが当たるような音がした。

アンドロイドは窓から音のした方を見る。

壁の一部にひびが入っている。

どうやらさっきと同じく縁石を投げられたようだった。

アンドロイドは怒りに震えた。

犯人を見つけ出して石を投げ返してやろうかとさえ思ったその時だった。

「人体実験はんたーい!」
「人命を脅かす陸奥を許すなー!」

何やら陸奥を罵る声が聞こえてきたのだ。

その声はどんどん増えて行き、やがて陸奥の家の前に大勢の人が集まって来た。

アンドロイドは驚いた。

陸奥は人体実験をしたことなど1度もないし、人命を脅かすようなことも1度もしていなかった。

「やめて下さい!警察を呼びますよ!」
アンドロイドは叫んだ。

その瞬間、アンドロイドは顔に衝撃を受けた。

集まって来た人々のうちの誰かが投げた石がアンドロイドの眉間に当たったのだ。

アンドロイドは顔を押さえてうずくまった。

石を投げた者は、相手がもし生身の人間であれば死んでいたかもしれないなどということは考えていないに違いなかった。

石を投げた者だけではない。陸奥の家の前に集まっている人々の多くは生命倫理の保守という目的から大きく逸脱し、ただ陸奥を攻撃することだけが目的と化してしまっているのではなかろうか?だから下手をすれば怪我人や死人が出かねないようなことも平気で……

このままでは陸奥が危ない。

だが、アンドロイドは脳しんとうを起こしてしまったのか動けなかった。

「……お父さん……」

「音美!大丈夫か!?」

陸奥がアンドロイドを助け起こしたのはその時だった。

「音美、歩けるか?この部屋は危ない。奥へ逃げよう」

アンドロイドは陸奥に支えられながら奥にある研究室へ向かった。

研究室には陸奥が実験に使うために用意した薬品とヒューマノイドの研究のために作られた人工細胞があった。

ドン!バキッ!

何かが壊れる音がした。

「玄関のドアが破られたのか!……なんてこった……」

陸奥はアンドロイドを支えながらどうにか研究室に駆け込むとドアに鍵をかけた。

危険な薬品もある研究室のドアは頑丈に作られていたが、破れない保証はない。

一刻も早く警察に来てもらわなければ……

だが、家の前の道が大勢の人でごった返している今、警察が陸奥やアンドロイドの所までたどり着くには時間がかかりそうだった。

ドン!ドン!

ドアが音を立てる。

「まずい!もうドアの前まで……」

陸奥はとっさにドアを押さえた。

ドアを通して衝撃や怒号が陸奥に伝わってくる。

そして陸奥は不気味な音を聞いた。

コッチコッチコッチ……

それは時計の音のようでもあったが、この状況で想像される音の正体は……

「よせ!こんな所で爆弾なんか使ったら君達だって危ないんだぞ!」
陸奥は言った。

だが、そういった説得が通じるのは相手が冷静になってくれた時のみだ。

もうだめだ!

そう思った陸奥は人工細胞の容器とアンドロイドの上に覆いかぶさった。

彼女達だけでも守らなければ……

その直後、陸奥の耳は遠くなった。



……どうやら自分は生きているようだ。

爆風で飛ばされた際に捻った足の痛みでそれは分かった。

陸奥は自分のすぐ隣に倒れているアンドロイドに気がついた。

「音美!無事か!?」
陸奥はアンドロイドを揺り動かした。

「……え、ええ。……博士は……大丈夫ですか?」
アンドロイドは小さな声で言った。

「大丈夫だ。この通り元気だよ」
陸奥は言った。

陸奥が抱えていた人工細胞の容器も無事だった。

ドアは粉々になっていてそこから光が差し込んでいる。

このドアが自分達の盾となり、身代わりとなったのだろうか?

陸奥は自分達を守ってくれたドアの破片を拾い上げた。

「……ありがとう。君のおかげで助かったよ」

それにしても……

ドアの外にいた人達はどうなったのだろう?

なぜドアが吹き飛んだのに乗り込んでこなかったのだろうか?

頑丈なドアが吹き飛ぶほどの爆発に巻き込まれて命を落とした者達を踏み越えることができなかったのだろうか?

そしてあれだけのことがあったにも関わらず警察が来ていないのも変だ。

不安はあったが、陸奥は外の様子を見て見ることにした。

ドアの破片をポケットにしまうと、陸奥は研究室の外に出た。

陸奥は息をのんだ。

陸奥の目の前にあったのは自分の家の廊下ではなかった。

だが、それは陸奥にとって見覚えのある景色でもあった。

「ここは……まさか……」

陸奥は足を引きずりながら歩きだした。

「博士、どこに行かれるんですか?外に出るのは危険です」
アンドロイドは言った。

「心配ないよ。ちょっと近くまで行くだけだから。……確かめたいことがあるんだ」
陸奥は言った。

「……それでは、すぐ帰って来て下さいね」
アンドロイドはそれ以上陸奥を止めなかった。

陸奥は記憶を頼りにある場所へ向かった。

「……思った通りだ」
陸奥は声を漏らした。

そこには10年以上前になくなったはずの煙草屋があったのだ。

煙草屋の店番をしているのは陸奥がよく知っている女だった。

まだあどけなさの残るその女は陸奥の記憶にある通りのしぐさで声をかけて来た。

「いらっしゃいませ」

「こんにちは」
陸奥は挨拶する。

「……どうされたんですか?その足……」
女は陸奥が足を引きずっていることに気付き、心配そうに言った。

「実はちょっと前にくじいてしまって……。赤マルと朝刊を下さいませんか?」
陸奥は言った。

「煙草屋の私がこんなこと言うのもなんですけど、怪我をされている時は煙草は控えられた方がいいですよ」
女は言った。

「……そうですね。それでは買うのは新聞だけにしておきます」
陸奥は言った。

「分かりました。はい。どうぞ。足の怪我はちゃんと病院で見てもらって下さいね」
そう言いながら女は新聞を差し出した。

「どうも」
陸奥は女に新聞代を渡すと、さっそく新聞を開いた。

『八重の桜』
『あまちゃん』
『エドワード・スノーデン』
『ラック・メガンティック鉄道事故』

陸奥にとってそれらの記事は30年前の記憶だった。

新聞に書いてあった日付は2013年8月1日……

「あの……失礼ですけど、どこかでお会いしたことありましたっけ?」
女は言った。

「……いいえ」
陸奥は言った。

「そ、そうですよね。ごめんなさい。……私ったら一体何言ってるのかしら?」
女は恥ずかしそうに言った。

「いえいえ……。新聞とお心遣いありがとうございます」
陸奥はそう言うとその場を後にした。

……ちいちゃん、どんなに辛くても、最後まで生きてくれ。残された時間をどうか大切にしてほしい……

陸奥はそう言いたい気持ちを懸命にこらえていた。

陸奥が研究室に戻ると、アンドロイドは陸奥が持っている新聞に目を止めた。

「博士、その新聞は……」
「2013年の新聞だよ。だけど30年前の新聞じゃない。今日の新聞だ」
「そ、それじゃあ……」
「ああ、さっきの……という言い方ももうないもんだが、爆発で、ヒューマノイドよりも先に完成してしまったんだよ。使い方を間違えれば恐ろしい事態を招くかもしれない代物がね……」
「……大変なことになってしまいましたね。これからどうしたら……?」
「ヒューマノイドを一刻も早く完成させる。彼女達の補佐がなければ、こいつを正しく使うのは難しいからね。自分が作り出した物は正しく使う。これは科学者としての義務だ」
「彼女達?」
「ヒューマノイドは2体必要なんだ。1体には地球が誕生してからの歴史を記憶する役割を担ってもらう。そしてもう1体の役割は……今目の前に広がっている未来を記憶することだ」





ピーター:「今回は長いな(汗)」

ハンドル:「ごめん。予定していた部数を超えちゃってるから、ある程度長くしないといけなくなって……(汗)」

麻友:「でもまだ完結しないね。私のピンチも続いているし……(汗)」

ハンドル:「……ああ、ごめん。いや本当に……」

ピーター:「毎度のことだけど、ハンドルの言い訳や平謝りなんか聞いていたってしょうがないや」

麻友:「そうだね。……それでは、やまとさん、『第4回 WAM生!』も是非成功させて下さい(^O^)」

ピーター:「皆、日曜日はパソコンの前でやまとさん、麗しろんさん、雨音瑠美さんを応援しよう(^O^)」

ハンドル:「本当は『ムツゴロウジャンプは20部以内で収めるつもりで……。あまり部数を多くし過ぎるのもよくないから……』」

麻友、ピーター:「……まだ言ってるよ、この人……(汗)」

ムツゴロウジャンプ 第20部

どうも、ハンドルです。

初めに皆さんにお詫びしなければならないことがあります。

以前投稿したブログでDJをやってみます 第3回で僕は「『ムツゴロウジャンプ』は現在第10部まで進んでいるので、できれば後10部以内(合計で20部以内)までで完結させようと思っております。」と書いたのですが、『ムツゴロウジャンプ』は当初予定していた以上の大長編になってしまい、今回の更新で完結させることはできませんでしたm(__)m

ストーリー自体は佳境に入っているので、もうすぐ完結させられるとは思うのですが、具体的に後何部で完結かはまだ見通しが立っておりません。

「まだ完結しないの~?」とお思いの方は多いとは思いますが、どうかご了承くださいm(__)m

それでは、『ムツゴロウジャンプ 第20部』本編をどうぞ






音美は徹也を追いかけたくなさそうだった。……ということは、麻友が呼んでもこっちに来てくれない可能性があるわけだ。

やっぱり徹也を連れていこう。徹也の方から行けばさすがに音美も逃げ出したりはするまい。

おいらはそう思い、麻友に声をかけた。

「麻友、やっぱり音美を連れて来るのはよそう。こっちから話を聞きに行く方がいいだろうからさ」

「え~。さっきと言ってることが違うじゃん」
麻友はぶすくれてこっちに戻ってくる。



目の前がかすんでくる。

起きているのもそろそろ限界か……。

「……ちっ!もう少しこっちに近づいてくれりゃあ狙い撃ちできたのに引き返しやがった」
男の声が聞こえる。

「もう1度戻ってくるわよ。その時を狙いなさい」
これは女の声だ。

……何とかしなければ……

麻友がこっちへ来る前に何とかして……危険を知らせなければ……



「徹也、音美ならひょっとするとミサワっていう人間のことを知っているかもしれないからちょっとだけ来てくれないか?」
おいらは言った。

「悪いけど、バスの時間があるから……」
徹也は腕時計を見る。

徹也の腕時計は9時20分を指していた。

ここからバス停までは人間なら歩いて5分ほどかかる。

徹也が乗ろうとしているのは9時30分に発車するバスか?

「そ、その時計進んでるんじゃないか?今は8時55分だぞ」
おいらは嘘をついた。

「えっ?」
徹也はもう1度時計を見る。

「何言ってるのピーター?今は……」
麻友は言いかける。

麻友、ちょっとくらいは空気を読んでくれよ……おいらは始めそう言いたかったが……

「8時40分だよ」

「本当かい?……それはまいったな」
徹也は時計を見直して言った。

……おいらは口から出まかせを言ったのだが、徹也の時計は本当に進んでいたのだった。それも40分も。

嘘から出た真とはまさにこのことだ。

「徹也さんは何時のバスに乗るの?」
麻友は聞いた。

「9時半のバスだよ」
徹也は言った。

「それじゃあまだ時間があるね。お姉ちゃんの話を聞いて言ってよ」
麻友は言った。

「……そうだなあ。そこまで言うんだったら……」
徹也は音美から話を聞くことを了承してくれた。

「やったあ。徹也さん、ありがとう。それじゃあ行こ」
麻友はそう言うと音美の家の方に向かって歩き出した。



「よし。今度こそ……」
男の声がする。

目の前がかすんでいて分からないが、男は再び銃を構えているのだろう。

「間違っても徹也を撃つんじゃないわよ。あいつをここで殺したが最後私達の計画は水の泡よ」
女の声だ。

「わーってるって」
……と男の声。

「集中しなさいよ!」
……と女の声。

俺の眠気はもう限界に近かった。

だけど……ここで眠ってしまうわけにはいかない。

麻友を助けなければ……

しっかりしろ、ラッキー!犬の力を発揮するんだ!

「ウ……ウ~……ワンッ!」



ラッキーが吠えている。

何かあったのだろうか?

そう思ったおいらは聞き耳を立ててみて驚いた。

音美とラッキーと虫籠に入っているスプラッター、それに起動していないヒューマノイドと意識のない半戸しかいないはずの家の中から別の誰かの声が聞こえて来たのだ。

「黙れ!このバカ犬!」

声はそう言っているようだった。

その時、おいらは家の窓の中に光る金属のようなものを見たような気がした。

そしてまた別の声が聞こえて来た。

「早く撃ちなさい!麻友に気付かれるわよ!」

おいらはぞっとした。

今の声からしてあの金属は……

「麻友!逃げろ!」
おいらは叫んだ。

「えっ?!」

麻友が振り返ったその瞬間、麻友の頭のすぐ近くを何かが横切った。

「あつっ!」
麻友は思わず右手で頭を押さえる。

「危ない!早くこっちへ!」

徹也は咄嗟に麻友の左手を引き、麻友を木の陰に隠した。

おいらも急いで木の陰に隠れる。

「麻友ちゃん、頭を見せて」
徹也はそう言って麻友の右手を少し持ち上げた。

おいらからも麻友の右手が少し見えたのだが、麻友の右手には赤いものがべったりと付いていた。

恐怖のあまり泣くこともできずにいる麻友に右手は絶対に見せられなかった。

「一体どうなってるんだ?……と、とにかくすぐに警察を呼んでここから逃げないと……」
徹也は携帯電話を取り出した。

だが……

「おい!警察に知らせるつもりならこっちを見てみろ!」

家の方を見て見ると、男が気絶した音美の頭に銃を突きつけていた。

「通報したらどうなるか分かっているだろうな?」
男は言った。

「徹也さん、携帯電話をしまって!お姉ちゃんが……お姉ちゃんが撃たれちゃうよ!」
麻友は懸命に徹也に訴える。

「だ、だけどこのままじゃ麻友が殺されるかもしれないんだぞ。何しろあいつらは……」
おいらはそう言いかけて慌てて黙った。

おそらくあいつらはスプラッターのボスである2人の男女なのだろう。そしてここに来た目的は麻友を殺してスプラッターを奪還することに違いなかった。

だけどそのことを言ったが最後、徹也にタイムスリップのことを話さなければならなくなるし、それにもし麻友がなぜ自分が狙われるのかを聞いてきたら……

「ピーター!今はお姉ちゃんやおじちゃんやラッキーを助けなきゃ!……徹也さん、早く携帯電話をしまってよ!」
麻友は目に涙をためている。

「……やむを得ない」
徹也は携帯電話を閉じてしまった。

「よし。全員そのままこっちへ来るんだ。言っておくが逃げて誰かに助けを求めようなんて考えるなよ。この辺りの道を別の誰かが通るまでは後30分はあるからな」
音美に銃を突きつけた男は言った。

……どうする?

このままあいつの言う通りに出て行ったら麻友が撃たれてしまうんじゃないか?

だが、言われた通りにしなければ……

「……なあ、どうする?」
おいらは自分で出せない答えを徹也に求めた。

「……ここは言われた通りにした方がよさそうだ」
徹也は言った。

「おい!早くしないか!この女がどうなってもいいのか?」
男は言った。

「……分かりました。でもその前にまずは銃を下ろしてもらえませんか?」
徹也は言った。

「いいだろう」
男はそう言って一旦銃を下ろす。

「……麻友ちゃん、僕の後ろに隠れてついてくるんだよ」
徹也は言った。

徹也は狙われているのは麻友だと気づいていたのだろうか?

徹也は両手を上げ、家に近づいた。

麻友は徹也に言われた通り、徹也の後ろに隠れるようにしてついて行く。

おいらは……情けないかもしれないがその後ろに隠れてついて行った。

「よし。そのまま家の中に入るんだ」
男は言った。

おいら達は言われた通りにする。

「ふん。随分手こずったわね。日下」
スプラッターを手に乗せた女が言った。

「音美を人質にしたのはいいアイデアだっただろう?ミサワさん」
日下と呼ばれた男は言った。

ミサワ?!

おいらも徹也も麻友も驚いて女の顔を見た。

ミサワというのはこの女の名前だったのか?!





麻友:「ちょ、ちょっとお!私まだピンチから脱してないじゃん」

ハンドル:「ごめんね。だけど物語も佳境だから盛り上がる展開にしないと……」

麻友:「だからって何で私ばっかりピンチになるの?!」

ハンドル:「君が無事に助かるかどうかが物語の鍵に……」

ピーター:「ハンドル、それくらいにしとけ。ネタバレになるぞ」

ハンドル:「おっと、そうだった」

麻友:「ちぇっ!また聞きそこなっちゃった」

ハンドル:「まあまあ。次回でいろいろなことが分かってくるからさ。次回の更新を待っていてくれよ」

麻友:「じゃあ早く更新してよ」

ハンドル:「分かったよ。できるだけ早く更新する」

ピーター:「それじゃあ皆、『ムツゴロウジャンプ 第21部』は見所満載の超展開に……まあ、ハンドルの文才だから超展開って言ってもたかが知れてるけど、楽しみにしていてくれ」

ハンドル:「……あのさあ、毎度のことながらそういう言い方されると傷つくんだけど……」

麻友:「まあまあ、ハンドルさん。そんなにむくれないで。それじゃあ皆、バイバーイm(__)m……間違った!こっちの顔文字(^O^)だった(汗)」
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